「モノやサービスの販売」を目的にしたWebサイトやランディングページ(LP)、アフィリエイト、チラシやダイレクトメールなどの制作を任された時、あなたが必ず理解しておくべき基本的なことがあります。
モノやサービスの販売を目的に文章を書くことを「セールスライティング」と呼びますが、文章を書く前に必ず理解しておくべきことは、読者や視聴者視点での「ベネフィット」を考えることです。
読者が求めていることは何か?
モノやサービスを販売する立場のあなたが、文章を書く目的は何でしょうか?
売りたいモノやサービスを読者に買ってもらうことですよね。
では、逆の立場であるモノやサービスを購入する立場である、読者の目的は何でしょうか?
購入したい商品に関連する情報を集めて、最終的に購入すべきか否かや、多くの候補商品の中から何を購入すべきかを判断することです。
以下の文章を、読者の立場で読んで比較してみてください。
- 【A】バッテリー容量が10,000mAhに大幅アップしたiPhoneが遂にリリース!
- 【B】3日間充電いらずのiPhoneが遂にリリース!
- 【A】この新洗剤は、トイレ周りの汚れを寄せ付けないチカラが3倍になりました
- 【B】この新洗剤を使えば、あの面倒なトイレ周りのお掃除も3ヶ月に1回で大丈夫です
商品・サービス自体のことを知りたいのではない
いかがでしょうか?どちらの文章も「A」は、販売者側の視点で書かれているのに対して、「B」は購入者・利用者の視点で書かれていることが理解いただけると思います。
別の言い方をすると、「A」は商品の「特長」を説明しているのに対し、「B」は商品を使うことによって読者が「どうなるか」を説明しています。
知りたいのは、商品・サービスを使った後の「結果」
「A」の文章は、商品の特長を並べることによって、読者に購入を促しています。既に商品に興味を持っている読者であれば、商品特長を読めば、「B」で記載しているような購入後に「どうなるか」を想像してもらえるかもしれません。
しかしながら、商品を販売するためには、多くの場合、商品のことをよく理解していない読者に買ってもらうことが求められます。そのためには、まずは読者に「興味」を持ってもらう必要があります。
興味を持ってもらうには、商品の特長を説明するだけでは、ピンとこない読者が大半でしょう。
読者に興味を持ってもらうためには、「B」の文章に書かれているように、商品を使うことによって「どうなるか」を理解してもらう必要があるのです。
セールスライティングにおける「ベネフィット」とは
前章の例文「B」に書かれたような、商品を使うことによって読者が享受できる具体的な結果を「ベネフィット」と呼びます。一方の「A」に書かれているのは、商品の「特長」となります。
モノやサービスを販売することを目的とするセールスライティングにおいては、「ベネフィット」と「特長」の違いを意識して使い分けることが大切です。そして、読者に対して「ベネフィット」を「早い段階」で気づかせて、興味を持ってもらうことが非常に重要です。
「早い段階」でベネフィットを理解してもらわなければ、読者はベネフィットの存在に気づく前にあなたのサイトやチラシから離脱されてしまいます。
ベネフィットは、読者に気づいてもらうのではなく、気づかせる意識を持つ必要があるのです。
ベネフィットと特長の比較
「ベネフィット」と「特長」の一番の違いは、「購入者視点」か「販売者視点」であるかです。セールスに関わる人は「相手の視点で考える」、と言われたことはありませんか?セールスの現場では常に「購入者視点」を意識することが必要です。
人それぞれ興味を持つことが違うように、購入者によりベネフィットも異なります。そのため、ベネフィットを考える時には、ターゲット像を明確に決めて、そのターゲットに向けたベネフィットを考えることが重要となります。
セールスライティングにおいて、ベネフィットと特長の違いは、以下のようなことが挙げられます。
ベネフィット | 特長 |
---|---|
購入者視点 | 販売者視点 |
購入者によりベネフィットは異なる | 普遍的で客観的 |
理想や結果(好ましい将来/未来の実現) | スペックや能力など機能や効能(物理的要素) |
ベネフィットを作りだす方法
それでは、ベネフィットを作り出すには、どうすれば良いのでしょうか?
まずは、売りたいモノやサービスの特長を多く洗い出してみてください。些細なことでも結構です。とくにかく、たくさんの特長を洗い出してみましょう。
前章にも書きましたが「ベネフィット」は読者により異なるため、ある読者にとってはベネフィットと感じても、別の読者にはベネフィットと感じないことがあるからです。
STEP1で書き出した各特長から、「読者視点」でメリット感じる「結果」を導き出します。以下の例文のように、結果からさらに結果を導き出すことであっても、それぞれの理由・証拠が提示できる内容なら問題ありません。
【特長】スマホのバッテリー容量が倍になった
- → 充電をしなくても長い時間、連続使用できる
- → 外出先や移動中にも長時間映画を何本も視聴できる
- → モバイルバッテリーを持ち歩く必要がなくなる
- → 荷物が減らせる、軽くなる
- → バック・鞄を小さくできる
- → 【ベネフィット】手ぶらで外出できる
「 購入者によりベネフィットは異なる 」と書きましたが、このことは、ターゲットによってベネフィットが異なることを意味します。
そこで、STEP2の特長からベネフィットを作り出す際に、なるべく具体的なターゲット像を想定して絞り込み、そのターゲットに対するベネフィットを考えます。
ターゲット像:30代 男性 飲食店を経営 職場の店舗への通勤は電車で片道1時間
【特長】スマホのバッテリー容量が倍になった
- → 充電をしなくても長い時間、連続使用できる
- → 外出先や移動中にも長時間映画を何本も視聴できる
- → モバイルバッテリーを持ち歩く必要がなくなる
- → 荷物が減らせる、軽くなる
- → バック・鞄を小さくできる
- → 【ベネフィット】手ぶらで外出できる
まとめ
読者がモノやサービスを購入する目的は、商品から「ベネフィット」を享受することです。そのベネフィットに対する理由や証拠が「特長」です。
セールスライティングにおいて重要なことは、読者に対して「ベネフィット」を語り、興味に気づかせたり、興味を持ってもらうことです。そして、そのベネフィットに対する理由や証拠として「特長」を語るのです。特長だけを並べても、読者の興味を惹くことはできません。
セールスライティングにおいて、「ベネフィット」と「特長」の違いを理解することは、「集客」のキホンです。
「ベネフィット」の使い方は、文章を書く時だけでなく、WebページやLPの構成や、動画のシナリオを考える場合にも重要な要素となりますので、常に意識するようにしましょう。
「ベネフィット」について理解いただけましたら、次はあなたの商品・サービスのターゲットを絞り込む方法をご紹介します。